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瑠璃のかなたに

魔王 ゲーテ

多国語勉強が私の趣味です。
ラジオの語学番組では、今は、時間的に都合の良い、イタリア語、ドイツ語、フランス語、ロシア語を聴いています。 
ドイツ語では昔、若かりし頃の威勢の良かった小塩節先生を知っている私には一瞬の戸惑いがありましたが、昔とはまたひと味違った、円熟味を増された先生の応用編「ドイツ語うるわし」懐かしく聴いています。
今週はテーマはゲーテの詞にシューベルトが作曲した魔王です。歌は往年のバリトンの名歌手フィッシャー・ディースカウが歌っていました。
学生時代、私が始めて第二外国語として習い始めた頃は、ドイツ語文字はくねくね曲がった亀の子文字でした。とうとうマスター出来ませんでした。担当の若いドイツ語の先生が私たち学生を前にして、いきなり魔王を歌いだされたのです。当時は亀の子文字も魔王も私たちには高級過ぎて、消化不良を起こしてしまったようでした。ドイツ語は難しいの先入観を植え付けられた要因でした。
魔王も今ではその良さがわかります。長生きして良かったことの一つです。

魔王

詞:ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
曲:フランツ・シューベルト

誰だろう こんなにおそく闇と風を衝いてゆく人は。
駆けるのは こどもをつれた父、
やさしく我が子をいだいて
しっかとふかくかかえて進む。

「坊や、なにをそんなに怖がって、顔をかくすのだ」
「お父さん、魔王が見えないの、
冠つけて尾裾の長い魔王がいるのに」
「坊や、あれはたなびく霧だよ」

「かわいい子、さあわたしとおいで。
うんとたのしい遊びをしよう。
岸べには きれいな花がたくさん咲いているよ。
うちの母さん、金のきものをたんと持っているよ」

「お父さん、お父さんてば、あれが聞こえないの?
魔王が小声で約束するのが」
「大丈夫、坊や、怖がるな、
枯れ葉に風のざわめく音だよ」

「かわいい坊や、いっしょに行くね?
うちの娘たち たんとおもてなしするよ。
夜の踊りを輪になって踊り
坊やをゆすり、踊って歌って寝かしてくれるよ」

「お父さん、お父さん、これで見みえないの、
あの暗がりの魔王の娘たち」
「坊や、坊や、お父さんにははっきり見える、
「灰色の老いぼれ柳の影なのだよ」

「お前が好きだ、きれいな姿がたまらない。
いやだというな力ずくだぞ」
「お父さん、お父さん、魔王がぼくをつかまえる、
ぼくに痛いことしたんだよ」

父は総身おぞけだち、馬を早足にかけさせる
喘ぐ子どもを両手にかかえ、
やっとの思いで邸に着くと、
腕にだかれて 子は息たえていた。
 
小塩 節訳 


„ Erlkönig „

Text: Johann Wolfgang von Goethe
Musik: Franz Schubert

Wer reitet so spät durch Nacht und Wind?
Es ist der Vater mit seinem Kind;
Er hat den Knaben wohl in dem Arm,
er faßt ihn sicher, er hält ihn warm.

„ Mein Sohn, was birgst du so bang dein Gesicht?
„ Siehhst, Vater, du den Erklönig nicht?
Den Erlenkönig mit Kron und Schweif?
„ Mein Sohn, es ist ein Nebelstreif.“

„ Du liebes Kind, komm, geh mit mir!
Gar schöne Spiele spiel ich mit dir;
Manch bunte Blumen sind an dem Strand,
meine Mutter hat manch gülden Gewand.“

„ Mein Vater, mein Vater, und hörest du nicht,
was Erlenkönig mir leise verspricht?
„ Sei ruhig, bleibe ruhig, mein Kind:
In dürren Blättern säuselt der Wind.“

„ Willst, feiner Knabe, du mit mir gehn?
Meine Töchter sollen dich warten schön;
meine Töchter führen den nächtlichen Reihn
und wiegen und tanzen und singen dich ein.“

„ Mein Vater, mein Vater, und siehst du nicht dort
Erlkönigs Töchter am döstern Ort?“
„ Mein Sohn, mein Sohn, ich seh es genau:
Es scheinen die alten Weiden so grau,

„ Ich liebe dich, mich reizt deine schäne Gestalt;
Und bist nicht du willig, so brach ich Gewalt.“
„ Mein Vater, mein Vater, jetzt faßt er mich an!
Erlkönig hat mir ein Leids getan!

Dem Vater grauset’s, er reitet geschwind,
er hält in Armen das ächzende Kind,
erreicht den Hof mit Möh’ und Not;
in seinen Aren das Kind war tot.
by pypiko | 2011-02-25 12:31 | 語学