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瑠璃のかなたに

田中秀央著 初級ラテン語読本より(11)

ミダス王

以前から酒の神バッカスを気に入っていたミダス王は神から素晴らしい贈り物をいただくことになった。 「王よ選び取れ。 お前が最も欲しいものを私はお前に喜んで与えよう。」その際、貪欲な王は驚くべき贈り物を手に入れた。というのは彼の体に触れるものすべてが金に変えられるように願った。直ちに王宮を通り抜けながら手で器、テーブル、ベットなどあらゆるものに触れて歩いた。以後は王宮には木製品も銀製品もまったくなくなってしまった。彼はかくも大いなる贈り物に対してバッカスに感謝した。ついに仕事に疲れて、王は夕食を要求した。貪欲な目には素晴らしいご馳走に見えた。魚に口を近づけると魚は直ちに黄金に変わった。それ故のどに硬い塊がくっついた。ワインも同様に黄金に変わった。ついに何日も何も食べず、何も飲まずに過ごした王は、飢えたのでバッカスに心から懇願して贈り物を返上した。その時から神は笑って恐ろしい贈り物からミダス王を解放した。


by pypiko | 2016-04-08 09:07 | その他