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瑠璃のかなたに

田中秀央著 初等ラテン語読本より(34-9)

このことを言って木材の先端の部分を火にかざしポリフェムスが眠っている間に燃える木材でポリフェムスの目を突き刺した。この後ポリフェムスと彼の仲間たちは洞窟の反対の隅に身を隠した。
しかしポリフェムスは突然、その痛みで目を覚まし、恐ろしい叫び声を上げ、そして手探りで洞窟の中を駆け回りオデッセウスを取り押さえようとした。しかし彼は今や全く盲目であったので彼は決してそうすることができなかった。
キクロープスたちはその叫び声を聞きつけてどこからともなく洞窟のほうへ集まってきた。そして入口近くにとどまってポリフェムスに「どうしたのか。なぜそんなに大きな声を上げたのか。」と尋ねた。
彼は「ひどく傷つけられた。それで大きな苦痛で苦しめられている。」と答えた。
そこで他の一人が「誰が攻撃を加えたのか。」と尋ねた時に、彼は「誰でもない。」と答えた。
「もし誰でもないものがお前を傷つけたならば、そのことは神の御心によるものだろう。
神に抵抗することは、我々には出来ないし、したくない。神による刑罰によってお前は苦しめられているのだろう」。と言いながらキクロープスたちは彼は気が狂ったのだといいながらその場を立ち去った。
by pypiko | 2016-10-12 07:12 | オデッセウス