瑠璃のかなたに

カテゴリ:オデッセウス( 20 )

田中秀央著 初等ラテン語読本より 34-20

次の昼間にオデッセウスは出来るだけ早く島を立ち去ることを考えた。
しかしキルケはこのことを知って憎悪から愛情の気持ちに変わって少しの間の日々親切にもてなし彼にもっとここに留まるように説得し始めた。
しかしオデッセウスは丸一年キルケの家で過ごした後も、故郷を見る望みを捨てきれずにいた。
かくして彼は仲間を彼のもとに集めてかれの心の内を話した。
しかし彼が下見のために海岸に下りた時、彼の船は嵐で打ち砕かれて航海のためにはほとんど無用のものとなっていることを知った。
このことを知って仲間たちに船の修理に役立つあらゆるものを調達することを命じた。皆は大いに勤勉さを発揮してこのことのために3日以内に仕事を成し遂げることを目標に働いた。
一方キルケは彼が出発のために努力していることを見て大いに苦しんだ。
しかしオデッセウスはこれから先も何年も航海を妨げられることのないように急いで出発することを考えていた。
彼が故郷に達するために多くの危険がオセッセウスを襲った。しかしそれらをすべて書き入れることはこの場ではながくなるのでやめておこう。

おわり
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by pypiko | 2017-01-06 10:28 | オデッセウス

田中秀央著 初等ラテン語読本より(34-19)

しかしオデッセウスは彼女が恐怖でおののいているのを感じるや否や仲間を即刻人間に姿に戻すように要求した。何故なら彼は彼らが豚の姿に変えられていることを知らされていたからである。
するとキルケはこのことに驚いて彼の足元にひれ伏して多くの涙を流してからが命令するすべてのことを確約することを固く誓った。
そして豚が一室に送り込まれるように命じた。
彼らは合図に従って入り込んだ。そして彼らはリーダーに気付いたときにあまりにも大きな苦痛を感じてどうしても彼に自分たちに起こったことについて彼に報告することが出来なかった。
そしてキルケはかれらの体にある種の油を塗った。すると彼らは短時間のうちに人間の姿に戻った。
オデッセウスは大きな喜びで友人たちを認知した。そして船に残っていたギリシア人たちに仲間が取り戻されたことを知らせる使者を海岸に送った。
かくして彼らはこのことを知ってキルケの家へ赴いた。そこで全員が集まり大いに喜んだ。
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by pypiko | 2016-12-26 12:09 | オデッセウス

田中秀央著 初等ラテン語読本より(34-18)

しばらくしてオデッセウスはすべての危険に備えて戸口をたたいた。するとキルケ自身が戸口を開け、オデッセウスを親切に迎えいれた。
キルケはすべて前回オデッセウスの仲間を迎えた時と同じようにした。
オデッセウスは豪華に用意された食事を見た。そしてキルケに食卓に着いて横になるように勧められた。
間もなく飢えが満たされたころにキルケによって黄金の杯がワインで満たされた。キルケは飲み干された杯に再びワインを満たした。
オデッセウスはたとえ自分の杯に毒が入れられたとしても何食わぬ顔で杯を傾けた。
この後キルケはオデッセウスの頭を杖でたたいて以前に彼の仲間たちを豚に変えた時の言葉を言った。
しかし以前に起こったこととは異なった事態となった。
なんとならば、ヘルメス神がオデッセウスに与えたある薬の力は毒も呪文も全く効果をもたらすことがないほど大きな力があった。
その時キルケは彼女の術が全く効果がないことを知って、涙を流して彼に命乞いをし始めた。
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by pypiko | 2016-12-19 11:59 | オデッセウス

田中秀央著 初等ラテン語読本より(34-17)

しばらく行くと大きな別荘に着いた。この別荘を目でよく観察して直ちに中へ入ることに決めた。何故ならエウリロコスが言っていた建物と同じであることが分かったからである。
彼がまさに入口を通り抜けようとしていた時に突然に彼の前に美しい青年が黄金の杖を持って現れた。
彼は今や家の内部に入らんとしていたオデッセウスの手をつかんだ。「どこへ行く?」「これがキルケの家だとは知らないのか?」
お前の仲間は人間の姿から豚の姿に変えられて閉じ込められているのだぞ」
「お前自身も同じ災難に見舞われたいのか?」
オデッセウスはその声を聴いてヘルメス神だと分かった。ヘルメス神から与えられた助言に従うことで魔法を追い払うことができた。
つまり、ヘルメス神は彼にある草を与えた。「お前がなすべきことを忘れるな」といった。
その後ヘルメス神はうすい大気の中を遠くへと立ち去った。
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by pypiko | 2016-12-13 19:53 | オデッセウス

田中秀央著 初等ラテン語読本より(34-16)

その時、魔法の最高の知識を持っていたキルケは手に持っていた黄金の杖で彼らの頭をたたくと彼らはすぐに豚になった。
その間エウリロクスは宮殿の中で何が行われているか知らないで戸口のそばに座っていた。しかし太陽の沈むころまで待った後一人で船に戻る決心をした。
彼は船に戻って心配と恐怖のために何が起こったかを仲間たちに詳しく物語ることができなかった。
しかしオデッセウスは彼の仲間が危険に陥ったことを十分に理解した。そして刀をつかんで、エウリロクスにキルケの家への道案内を命じた。
しかしエウリロクスは大いに涙を流しながらそのような危険に身を投じることをやめるように懇願した。
しかしオデッセウスは意に反して自分についてくる必要はないと答えた。船に留まることを望む者はそうするがよい。自分は救助を求めず、自ら自分の仕事を引き受ける。
もし何か異常なことが彼の身に起これば皆の救助はみんなの救助はもっとの困難になるだろうと言った。
彼はこのことを言って船から飛び降りた。しかし後に続く者はなく一人で道を進んだ。
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by pypiko | 2016-12-06 08:55 | オデッセウス

田中秀央著 初等ラテン語読本より(34-15)

このことが決定されて籤を引き当てたものたちが島の内部へと出発した。しかし彼らは死に向かっていることをだれも疑わなかったほどの恐怖に取りつかれていた。船に残った者たちは涙をかろうじてこらえていた。何故なら仲間を決して再び自分の目で見ることはかなわないだろうと信じていたからである。さて彼らはわずかな距離を進んだ後、ある村へ到着した。それは絵にも言えぬ美しい建物でその入り口に近づいたとき、彼らは甘美な歌声に魅惑された。さて、それはどうしても戸口をたたくことを制することができないほどに甘く優しい歌声であった。戸を叩くとキルケ自身が戸口へ出てきた。そして最高の親切で皆をもてなすべく招待した。エウリロコスは何かはかりごとがたくまれているのではないかと疑って、戸外で待つことに決めた。そして残りの者たちは好奇心に駆られて入っていった。あらゆるものが取り揃えられた素晴らしい会食の準備が整えられていた。女主人の命令で全員が席に着いた。そしてキルケは何かの薬を混ぜた葡萄酒を奴隷たちに食卓に運ばせた。それを飲んで、彼らはほどなく深い眠りに襲われた。
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by pypiko | 2016-12-02 11:48 | オデッセウス

田中秀央著 初等ラテン語読本より(34-14)

その後しばらくして、ギリシア人たちは太陽神の娘キルケの住んでいた某島に近づいた。
そこで船を陸付けしたときにオデッセウスは穀物を買い付けるために上陸することに決めた。何故なら穀物はすでに底をついていたからである。
それゆえに仲間を自分のそばへ呼び集めて事態がどのようであるかそして今後どのようにしたいかを話した。
しかし彼らはキクロープスの国に上陸した後でどれほど残酷な死で仲間が死んでいったかを忘れないでいたので、この仕事を望むものは一人もいなかった。
事態はこのようであったので、彼らの間でいさかいが起こった。
ついにオデッセウスはすべての者の合意で仲間を二つの班に分け、そのうちの一つの班をもっとも勇気のあるエウリロコスが、もう一つの班をオデッセウス自身が指揮することとした。
そして二人の代表者がくじを引きどちらの班が上陸するかを決めた。
こうしてエウリロコスが仲間の22人と共にことを引き受ける運命となった。
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by pypiko | 2016-12-02 11:38 | オデッセウス

田中秀央著 初等ラテン語読本より(34-13)

9日間順風のもとに航路を保っていた。そしてすでに彼の故郷の見えるところまでやってきていた。オデッセウスはすでに疲労困憊していた。なんとならば彼自身が舵をとっていたからである。彼は休息のため横になった。
しかし仲間たちはずっと以前から、袋の中に何が詰め込められているかを不思議に思っていて、指導者が眠りに入ったのを見てこれほど大きな機会を逃すべきではないと考えた。何故なら彼らはその中に黄金と銀が隠されていると思ったからである。
93そこで儲けの欲に誘われて直ちに袋を解いた。このことをすると、言わば従戦列を作ってのごとく、風はでぐちが作られた場所へ突進し、暴風となって水面を吹き荒れた。
直ちに突然に彼らが航路を保つことができないほどのひどい嵐が起こった。そして彼らが出発した場所に引き戻された。
オデッセウスは眠りから覚めた。そして事情がどんな状態であったかを直ちに理解した。解かれた袋と遠ざかるイタカを見た。
その際オデッセウスは大いに激怒した。仲間を強欲に導かれて故郷を見ることの希望を捨て去ってしまったことを叱った。
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by pypiko | 2016-11-23 09:59 | オデッセウス

田中秀央著 初等ラテン語読本より(34-12)

そこからわずかばかり進んでオデッセウスはある島に陸づけした。その島の名前はアエオロスという風の神の祖国だった。ここで巨大な洞窟の中でアエオルスはもがく風と嵐と轟音に命令してそれらを鎮め、そして鎖と牢獄でそれらを閉じ込めた。
その時アエオロス自身はギリシャ人たちを客として迎え入れた。そして彼らが力を回復するまで数日滞在するよう説得した。
7日目に疲労から回復したときにオデッセウスは航海に都合の良い季節を逃さないために時期を逸することなく出発すべきであると決心した。
その際オデッセウスが故郷を熱望していたことをよく知っていたアエオルスは彼に一つを除いてすべての風を閉じ込めた袋を与えた。
彼はその風がイタリアの方へ航海するのに適していると知っていたので西風だけが吹くようにさせた。
オデッセウスはこの送り物を喜んで受けた。そして、たくさんの親切に感謝を述べて袋を帆柱に結び付けた。
その時、出発の準備がすべて終わって、およそ正午近くに港を離れた。
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by pypiko | 2016-11-13 10:11 | オデッセウス

田中秀央著 初等ラテン語読本より(34-11)

このように事が順調に運んで、仲間とともにオデッセウスは洞窟を逃げおおせたが、ポリフェムスが彼の犯行に気付いて追いかけてこないかと大いに恐れて浜の方へできるだけ急いで遠ざかった。
そこへ着いたときに船の番をさせるために残しておいたものたちに喜んで迎えられた。
なんとならば彼らは心配して3日間、今か今かと待ち続けていた。下見に行ったものたちが重大な危険に陥ったのではないかと疑って、事実そうであったのではあるが、彼ら自身が助けるために上陸する準備をしていた。
仲間と合流したオデッセウスは、その場所に留まることが十分に安全であるとは思われなかったのでできるだけ速やかに出発することを決心した。かくしてすべてのものを乗船するように命じ錨があげられ海岸から沖へ向かおうとしていた。
その時オデッセウスは大声で叫んだ。「ポリフェムスよ。お前は客人たちに誓え。当然の残酷な罰を受ける」と。
その声を聞いて、ポリフェムスは怒りに激しく心を動かされて海の方へ向かった。そして小さな船が海岸から離れていく波の音に気付いて巨大な岩を手でつかんで、声が発せられた方向に向かって投げた。
ギリシア人たちは船が沈められそうになりながらも、だれ一人、被害を受けることなく航路を保ち続けることができた。
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by pypiko | 2016-11-03 12:43 | オデッセウス