瑠璃のかなたに

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松平千秋 国原吉之助共著 ラテン語読本 14

14 キケロ
M.T.キケロはヴォルチ族の町アルピニの騎士の家系の生まれである。彼の祖父の一人には鼻の先に疣があった。その疣はエジプト豆の粒(キケル)に似ていた。
そのことから氏族名キケロがつけられていた。
そのことがある者たちによって悪口のために向けられたときキケロは言った。「私は君に注意を与えよう。君の名前が非常に高貴な名前の輝きに負けることのないように」。
キケロは学校から帰るときに同胞たちが彼を王であるかのようにとり囲んで彼の家へ向かったほどに輝いていた。
それどころか彼の名声に酔いしれて彼の両親は彼を見るためにしばしば学校を訪れていた。
しかしながらこのことは粗野で無教養な人々に苦々しい思いを抱かせた。彼らはキケロを取り巻く学友たちをひどく叱責した。
キケロは機知にとんだユーモアを愛するものであった。敵たちから執政官級の道化師だと呼ばれるのにも慣れているほどであった。
キケロの婿はキケロの家系のものであったが小柄な人物であった。彼が長い剣を帯びているのを見てキケロは言った。「誰が私の家柄を剣で縛り付けているのか?」と
ある人妻が実年齢よりも若いふりをして、せめて30年前だったらとたびたび繰り返していた。この言葉を聞いてキケロは「この言葉を聞いてもう20年目だ(もう20年間この言葉を聞いている)」といった。
カエサルは二人のうち一人の執政官が十二月の最後の日に死んだとき最後の何時間かの間カニニウスが執政官となったことを発表した。
そこでこれまでの習慣で多くのものがカニニウスに祝辞を述べるために急いでいた時にキケロは言った。「急いでいきましょう。彼が執政官の職を離れる前に」。
キケロはカニニウスについて書いた。「彼はすごく用心深い性格であった。彼は全執政官であった間眠ることはなかった」と。
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by pypiko | 2017-05-21 21:21 | その他

松平千秋 国原吉之助共著 ラテン語読本 13

13アルキメデス
シチリアに捕らえられていたアルキメデスは驚くべき戦術用機械を使って長い間シチリアを守っていた。ローマの将軍マルチェスはアルキメデスに暴力を振るわないようにシチリア人に警告していた。ある時アルキメデスが砂の上に図形を描いている間に略奪するために家に押し入ろうとしたローマの兵士に、「お前は誰だ」尋ねると兵士は緊張のあまり何も答えなかった。そこでアルキメデスはその兵士に言った。「もし何でもないなら、私の円を乱さないでくれ」といった。それ故、誰であるかわからない兵士に殺された。
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by pypiko | 2017-05-14 09:04 | その他

松平千秋 国原吉之助共著 ラテン語読本12

12 ディオゲネス
ディオゲネスはプラトンがこのように定義しているのを聞いた。
「人間は翅のない二本足の動物である」と。
プラトンの弟子がこの定義を気に入ったので、ディオゲネスが雄鶏をプラトンの学校へ持ち込んで言った。
「ほら見ろ。これがプラトンの言う人間だ」と。
アレクサンダーはコリントに滞在中、ディオゲネスを知るために仲間とともに彼のもとへ出発した。アレクサンダーは彼の前であいさつをして、その後何か必要なものを言うように要求した。
しかしディオゲネスはアレクサンダーに言った。「一つお願いがあります。少しだけ太陽から後ろに下がってください」と。
このこと聞かされてアレクサンダーは言った。
「もしアレクサンダーでなかったら、ディオゲネスでありたいものだ」と。
灯したランプを持ち歩いているディオゲネスは広場でとても明るい光を持って何かを探している人のように散歩していた。
何をしているのかと尋ねた人達に彼は言った。「私は人を探している」。
こう言って国家の体制を非難して続けた「人間の名にふさわしいものはほとんどいない」と。
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by pypiko | 2017-05-13 05:17 | その他

松平千秋 国原吉之助共著 ラテン語読本 11

ビアースはギリシアの七賢人であった。
ある時、邪悪な人間たちと同じ船で航海をしていた。
逆風の嵐で船は沖で波に投げられ、ゆすぶられたときに、彼らは神々を呼んだ。
その時、ビアースは言った。「だまれ。お前たちがここで航海をしていることを神々が気付かれないように。」
ビアースの祖国プリエネを敵が占領していた。
今、他の逃亡者たちは彼らのものから多くのものを持ち逃げしようとしていた。
そこで彼も同じことをするように忠告されたとき、彼はこたえた。
「私は実際そうしているのだ、なぜなら私のもののすべてを(つまりお前たちもこの船もひっくるめて)私が運んでいるのだ」と。
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by pypiko | 2017-05-05 17:14 | その他

松平千秋 国原吉之助共著 ラテン語読本 10

10 ポンペイ(2)
我々の時代にいたるまで、埋められたこの町は名前を除いてほとんど何も留まっていなかった。約200年前から博学の人々は学問の熱意に動かされて古代の記念物を探し求めていた。かつてポンペイがあったところを探し始めた。多くの年月を費やし、用意周到な準備と最大の努力で町の一部、広場、道、建物、神殿が少しずつ人間の目によみがえってきた。ポンペイの町の全体は我々が今日、当時のポンペイの人々の私的な生活、公的の生活がどのように営まれていたかを知ることが出来るほどに無傷のままに保たれていた。
町が我々にさらけ出されただけでなく、多くの人間の体も見せられた。それらは逃げている最中に死んだ者や壁の内部に留まったまま死んだ者たちであった。
町の人口二万人のうち、そうした不幸な人々は約二千人であった。時には動物も見つけられた。特に灰で主人と共に押しつぶされて埋められた犬も見つかった。

さて読者諸君、君たちが望むなら少しの間、道を通って散歩するとしよう。道はたいてい狭い、少なくとも乗り物が通ることが出来ないほど古代の道は広くないのが普通だった。市民は足で移動するか奴隷によって輿で運ばれるかであった。
より広い道には車の跡と道を横切りたい人が利用する踏み石も見られた。
道の両側に飲食店があり、市民は葡萄酒、穀物、食物などすべての必要なものを買うことが出来た。
そしてまたあちこちの壁には多くのラテン語で書かれた文章が見つかった。
政務官による公示の文、詩人の詩の一節、少年の落書きなどである。
例えば次の文章がその例である。
立腹した居酒屋の主人が市民へ警告して
「ここは暇人たちのいるところではない。立ち去れぶらぶら歩きの者たちよ」
もう一例、金を愛するものへ
「富よ、万歳」
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by pypiko | 2017-04-15 19:51 | その他

松平千秋 国原吉之助共著 ラテン語読本 9

9 ポンペイ(1)
カンパニアの海岸で、ベスヴィオ山のふもとに、今日われわれは全イタリア半島の驚くべき光景を目にするであろう。
かつて、その町はポンペイの名で知られていた。ポンペイは古代にベスヴィオ 山の激しい爆発に襲われがれきや火山灰に深く埋められて約1700年間知られることなく横たわっていた。
その災害はどのようであったか。どんな方法でそれ程有名な町が破壊されたのか。
我々はローマの著述家プリニウスの家でこの破壊についての多くの逸話を見つける。母方の叔父の別荘で生まれた彼は22歳の青春期にポンペイからさほど遠くないところに住んでいた。
紀元79年の8月カンパニアの海岸で何日も続いていた地震が終わっていた。しかし市民はいまだに恐れていた。その後何日かたって第7時ごろベスヴィオ山から雲が空へ上った。あたかも黒い枝を持った巨木のようであった。するとたちまち道と家々は灰と石でおおわれ始めた。
昼に続いて恐怖に満ちた夜がやってきた。暗闇の中で山から火が上がって遠くに輝いていた。そして多く建物の基礎が揺れ動くような地震は終わっていた。
翌日の第一時はまだ夜だった。太陽を見ることが出来ない市民たちの恐怖は絶大であった。
なぜなら家に留まっていたものは硫黄の煙で死に。外に出たものは石に押しつぶされて地面に倒れていたからである。
さらに海は地震で、船で逃げることが出来ないほど海岸から遠くに離れていた。
太陽がついに戻ってきた3日目にはすべてが変わっていた。
すなわち町全体は灰と石の下に埋められて変わり果てていた。
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by pypiko | 2017-04-07 19:27 | その他

松平千秋 国原吉之助共著 ラテン語読本 8

8 貴族と平民
ローマ人は近くの国に対して戦争を行っていただけでなく、市壁の内部においてさえ国民が互いに争っていた。
この時期に階級が二つに分かれた。貴族と平民である。
古代のある種族に生まれた階級の者が共和国のすべての支配を自分たちで行っていた。何故なら平民の誰もが執政官に選ばれることはなかったからである。平民は公共の土地が正当に分け与えられなかったことに不平を言っていた。戦争で征服した領土は公平に市民に分け与えられていなかった。何故なら大部分の土地は貴族が占めていた。そして平民は彼らの小さな土地を大きな困難に立ち向かいながら耕していた。平民はしばしば負債を抱えた奴隷となった。
それほど古代ローマの習慣は平民にとって厳しかった。ついに平民は都市を捨てて3マイル離れた聖山へ退いた。そこで陣営を築いてもう一つの町を作ることを望んだ。
そこで貴族たちはメネニウム・アグリッパが使者として平民側へ送られることがよいと思われた。アグリッパは陣営内に迎え入れられた。かつて体の真ん中にいてのんきに快楽を享受していた腹は体の他の部分の働きで腹を満たしていると見られていたのだから、体の他の部分すなわち四肢は怒って自分たちの仕事を放棄することを決断した。しかしやがて腹のみならず四肢も飢えで滅び始めた。そして四肢自身も腹と一緒に自らの努力で養われていること悟った。そこで公正な平和を協定で取り決めることとなった。
この話に諭されて平民は町へ帰った。
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by pypiko | 2017-03-31 12:18 | その他

松平千秋 国原吉之助共著 ラテン語読本 7

7 インドと象
インドは最も大きな動物、象を生んだ。
この動物は従順さの点ですべての動物をしのいでいる。武器を投げること、剣闘士のように対決すること、踊ること、綱渡りをすることを学ぶ。
ある作家は次のように書いている。
一頭のやや鈍い象がいつも鞭でせっかんされていた。もう一頭の象がこのことを知って同じことを何度も夜中に繰り返し練習していた。
象たちはいつも群れを成して前進する。象の中の最年長の者が群れを導き、次の年齢層の者が群れを駆り立てる。大河を渡るときにはもっとも小さいものたちを先行させる。小象が深みに落ちた時には、その他の者が枝を集めてきて塁壁を作る。その後全力で落ちたものを引き上げる。
インドでは蛇もまた象と永遠の戦いを行っている。木の上からそばを通っていく象たちに頭から突っ込み、自らの体で結び目を作って象を縛って歩みを止める。象は鼻で結び目をほどく。しかし蛇は象の鼻に自分の頭をいれて象の息を止める。たいていはその戦いでドトラも一緒に死ぬ。何故なら象が倒れるとき蛇は象の重さでこなごなにされてしまうからである。
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by pypiko | 2017-03-24 20:33 | その他

松平千秋 国原吉之助共著 ラテン語読本 6

6 オルフェウスとエウリディテ
かつてオルフェウスという詩人がいた。
古代の詩人たちは、「オルフェウスの声はすべての人々に好まれていただけではなく凶暴な動物にも好まれていた」。と言っている。
巨大な岩や木々さえも彼に耳を傾けていた。
オルフェウスは美しい少女エウリディテとした。
しかし短い期間の後、死が少女を奪い取った。オルフェウスはあわれな夫として残された。
その時オルフェウスは彼の大きな悲しみを抑えることが出来なかった。
彼はいかなる友の助けを借りず一人で地下の世界へ下りて行った。そこで彼は地界の王、プルトンを追求して言った。
「プルトンよ!どうして私をこんなつらい目の合わせるのか。
エウリディテを死なせたのは公正ではない。
どうしてこれほど早い死が彼女を奪いとっとったのか。
私はあなたの親切を求める。私はどうしても彼女を取り戻すつもりだ」。といった。
それから甘い声で歌って、プルトンに訴えかけた。
プルトンはオルフェウスにエウリディテを地上に連れ帰ることを許した。
しかしプルトンはオルフェウスに地上に連れ帰るまでは彼女を振り返って見ることを禁じた。
オルフェウスはプルトンの親切を受け入れて恐怖に満ちた場所を通ってエウリディテを連れ戻すことに着手した。
しかし夫は愛情のあまり抑えきれなく、少女を振り返ってかえって見てしまった。
直ちにエウリディテは素早い力で奪い取られ決して二度と返されることがなくなった。
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by pypiko | 2017-03-18 19:08 | その他

松平千秋 国原吉之助共著 ラテン語読本 5

5 ヘラクレス
かつてヒドラという名の怪物がレルナエウス湖の近くの沼に住んでいた。ヒドラには9つの頭があり、その真ん中の頭は不死であった。エウリステウス王に怪物を殺すように命じられたヘラクレスは巨大な棒で攻撃した。しかし一つの頭を切り離す毎に直ちに同じ場所に二つの頭が生えた。そして巨大な蟹が怪物を助けた。その蟹によってヘラクレスは傷付けられた。しかしヘラクレスには忠実な召使がいてヨラウスといった。彼の援助で8つの頭を燃やし、不死身と言われた真ん中の頭を大きな岩の下に埋めた。その時、ヘラクラスはヒドラの血を自分の矢に塗った。その後ヘラクレスの矢で傷付けられたものはすべて、その毒で死んだ。
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by pypiko | 2017-03-11 20:14 | その他