瑠璃のかなたに

カテゴリ:その他( 303 )

大村雄治・ 古川晴風・有田潤共著 やさしいラテン語読本13

手紙
拝啓
田舎の生活を愛する者から都会の生活を愛する君へ
今、森は緑で、今が一番美しい季節です。
万物が開花し、どの牧場もどの畑も青々しています。
鳥は歌い、快いその歌声であたりを満たしています。
僕たちは野原や畑を散歩したり緑の草に寝転んだり一切のわずらわしさを忘れています。
鳥が快い歌声で僕たちを喜ばすとき、僕たちは静かにしていますが、喜びが胸にあふれてくると叫んだり歌ったりします。
昨日、僕は叔父の庭に続いている丘まで散歩しました。
晴れた空に太陽が輝き、高い木々の影を落としていました。
森、牧場、畑、すべてが生命と躍動と喜びにあふれていました。
あらゆるものが、自然がすべての人間に与える恵みを僕に思い出させたのです。
貴兄はいつまで都会をほめるのですか。
いつまで都会に住むつもりですか。
僕たちのこの喜びを早くともにしてください。
貴兄は僕の言葉よりももっと貴兄の目を信じることでしょう。
一年中で一番素敵なこの季節に僕のところへ来る気になったら、僕の言うことを聞いてよかったと思いますよ。
なるべく早くいらっしゃい。お出でを待っています。くれぐれもお大事に。
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by pypiko | 2017-11-22 12:42 | その他

大村雄治・ 古川晴風・有田潤共著 やさしいラテン語読本12

サビナ人とローマ人2
サビナ人は悲しみと怒りに震えサビナの地へ帰った。
彼らは冬の間中ここに留まり一心に武器を整えた。
ローマとサビナの道は遠かった。
けれどもついにサビナ人は、今度は武器を整えてローマ市の城門の前に立った。
彼らは言った。「ローマ人よ!われらの娘たちをわれらの姉妹たちのために断固として戦うであろう。」
するとローマ人の家々からサビナ人の女たちが髪をふり乱して飛び出した。彼らは子供を連れてきて父や兄弟に見せた。
父と兄弟に彼女らは涙ながらに訴えた。
「今ではローマ人の家で私たちは楽しく無事に暮らしています。可愛い子供たちがあり深く愛しています。私たちはサビナ人とローマ人を愛しているのです。
もしローマ人がサビナ人と戦うなら、ローマ人はサビナ人を、サビナ人はローマ人を殺すでしょう。
そうなると、サビナの女たちには夫も父も兄弟もいなくなります。
おお、父たちよ、ごきげんよう。あなた方の娘たち、私たちはもうサビナの女ではなく、いつまでもローマの女となるでしょう。」
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by pypiko | 2017-11-12 09:04 | その他

大村雄治・ 古川晴風・有田潤共著 やさしいラテン語読本11 

11 ローマ人とサビーナ人
ロムルスはマルスの息子であった。マルスは戦争と武器の神であった。 
ローマの兵隊はマルスをあがめ、マルスの祭壇で犠牲獣をほうった。
だからロムスは兵士と武器をことのほか愛好した。
彼はローマの最初の王であった。
しかし市には男しか住んでいなかった。かれらは妻も姉妹も持っていなかった。
そこでロムスは全市民を集めて行った。「市民たちよ。我々のところには一人の女もおらぬがサビア人が隣の国に住んでいる。
彼らのところにはたくさんの美しい女たちがいる。だからサビナ人を女たちと一緒に競技会に招待しよう。そして乙女たちを奪い取ろう。」
そこでローマ人はサビナ人を競技会に招待した。
ローマ人とサビナ人のあいだは平和であった。
だからサビナ人はローマ人の競技会に喜んでやって来た。
彼らは楯も剣も槍も持ってこなかった。
男たちと一緒にたくさんの女たちがやって来て、ローマ人の競技会を見物した。
競技会の真っ最中にローマ人は突然大声で叫ぶと、こはいかに!サビナ人から乙女たちをさらうと家へ連れ去った。
母親たちが涙を流し、男どもに武器をとれと励ましたが無駄だった。
ローマ人は楯と剣と槍を持っていたがサビナ人はそのいずれもなかった。
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by pypiko | 2017-11-06 10:22 | その他

大村雄治・ 古川晴風・有田潤共著 やさしいラテン語読本10

コリオラオス1
ローマの有名な将軍コリオラヌスは傲慢のためにローマの民衆に憎まれた。
それで彼は追放され、ローマ人の大敵ウォルスキ人のところへ赴いた。
彼はウォルスキ人によって軍の将軍にされ、しばしばローマの軍勢を破った。
ついに彼はウォルスキ人の大軍を引き連れて、ローマ市に進撃した。
ローマ市から使節団がやって来て、和を乞うたが無駄であった。
その後で母のウェトゥリアと妻のウィルムニアがローマ市からやって来た。そして二人の女の涙ながらの願いに促されて、彼は軍を後退させた。
しかしウォルスキ人によって裏切り者として殺された。
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by pypiko | 2017-10-31 18:16 | その他

大村雄治・古川晴風・有田潤共著 やさしいラテン語読本 9 

ケレスとペルセポネ 6
それからペルセポネはメルクリウスと黄泉をでていった。
メルクリウスは丈夫な馬を駆り立てて高い山と広い野原を勇んで走った。
ついにペルセポネは金色の髪の女神の社をみた。
乙女はうれしげに、はずむ言葉で女神の名を呼んだ。
ケレスは大喜びで社から飛び出してきて、可愛い娘になんどもくちづけをした。
突然、牧場に草が、ブドウ畑にブドウの房が茂ってきた。なぜならケレスとペルセポネがもう泣いていなかったから。
他の神々も喜んだ。農夫たちが社にたくさんの贈り物を運んできて祭壇に犠牲獣をほおったからである。
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by pypiko | 2017-10-22 19:36 | その他

大村雄治・古川晴風・有田潤共著 やさしいラテン語読本 8

ケレスとペルセポネ 5
そうしてケレスは農夫の小屋を出て行った。
けれども家族のものは涙を流し、またトリプトテレスも、もう女神の膝で眠れなかったので泣いた。
朝方、農夫はあたりの男女を呼び集め、女神の言行を物語った。
男や女はたくさんの石を運んできて、大きな社を築いた。
社殿の祭壇で彼らは犠牲獣をほうり女神をあがめた。
人々の贈り物に女神は喜び、長らく社に住んだ。
一方、他の神々の祭壇には果実もぶどうもバラもなかった。
もう牧場の草の草も畑の果実も花をつけなかった、ケレスが娘のことでまだ泣いていたから。
かくてユピテルは女神に言った。「プルトがおまえの娘を持っているのだ。
ペルセポネは黄泉の女王なのだ。
けれどもメリクリウスが黄泉へいそいで行って、少女をお前の社まですばやくつれてくるであろう。」
それからメリクリウスは黄泉は急いでいった。
ペルセポネは夫とともに長椅子に座っていた。
彼女はみじめであった。なつかしい女神にずっと会いたがっていたから。
彼女はメルクリウスを見て喜んだ。
彼女は言った。「ふたたびなつかしい女神に私は会えるでしょう。ふたたびケレスは娘を取り戻すことでしょう。」
するとプルトはやさしい言葉で女神に懇願した。「おお、ペルセポネおまえがわしを覚えていてくれれば、プルトはいつでもありがたく思うであろう。ふたたびおまえは黄泉の妃となるがよい。
今は空は青く牧場は楽しいがやがて空は冷たくなり風も畑も冷たくなるであろう。
その時お前はふたたびお前の夫と黄泉の国が恋しくなるだろうよ。おお可愛い女王よ、ごきげんよう。」
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by pypiko | 2017-10-15 08:43 | その他

大村雄治・古川晴風・有田潤共著 やさしいラテン語読本 7

ケレスとペルセポネ4
ある時、月と星が空に輝いていた。
地上のいたるところ、男も女も眠りによって心をやすめていた。
けれどもメタニアは眠れなかった。彼女はそっと女神と男の子を眺めていた。
ケレスはこどものゆりかごのそばにいて、不思議な神のことばをとなえていた。
それから少年を膝に抱き、そして炉の方へ歩いて行った。
どうだろう! トリプトレムスは炉の炎の中に横たわっていた。
メタニアはおののきながら「おお、わが子よ」と叫んで炉へ近づいた。
すると女神は怒って子供を炎からつまみ出すと床に投げてメタニアに言った、「おお、おまえはおろかな罪深い女であった。
トリプトレムスはおろかな女の息子だから、神になれぬであろう。
けれども女神の膝によこたわっていたのだから、偉大な人間になるであろう。
私と私の娘ペルセポネがトリプトレムスにものを教え育てるであろう。
彼は農夫の教師になるであろう。穀物と葡萄酒を農夫どもに教えるであろうから。」
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by pypiko | 2017-10-10 08:31 | その他

大村雄治・古川晴風・有田潤共著 やさしいラテン語読本 6

ケレスとペルポネ 3
ついにケレスは農夫の小屋の近くの冷たい岩の上にすわった。
女神は悲しくて長いこと泣いた。すると小屋から少女が女神のところへやって来た。
少女は目に涙をいっぱいためていた。
「私たちのところには小さな男の子がいます。病気でゆりかごにています。私たちは坊やが病気なので泣いているのです。」
そこでケレスは自分の涙をおさえて、少女と一緒に小屋へいそいだ。
そこではメタニラが病気の息子を膝に抱いていた。
メタニラの息子はトリプトレムスであった。
男の子が病気なので農夫もメタニラも少女も泣いていた。
そこでケレスは男の子にくちづけをした。するとどうだろう!たちまち、男の子が元気になった。
女神のくちづけは不思議な霊験あらたかのものだ。
農夫とメタニラと少女は喜んだ。
男の子は嬉しそうに健やかにゆりかごのなかで眠っていた。
ケレスはトリプトレムスを膝にだいた。
女神は家族の皆と食事をした。食卓には紫のぶどうの房とおいしそうな果物があった。
イタリアとギリシャの人々は葡萄酒と小麦をまだ知らなかった。
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by pypiko | 2017-10-01 09:32 | その他

大村雄治・古川晴風・有田潤共著 やさしいラテン語読本 5

ケレスとペルポネ 2
ケレスはシシリー島にいなかったが、すぐに島に戻ってきた。
どこにもペルセポネはいなかった。髪を振り乱してあちこちと歩き回った。
女神は怒りおののきながら、髪を振り乱してあちこちと歩き回った。
高い丘、広い野、天と地をめぐって娘の名を呼んだ。
「私の娘はどこにいるの。」と農夫たちにいても、月や星に聞いても無駄だった。
農夫も月も星も女神に娘を示さなかった。
穀物はもはやあわれな女神の喜びとならず、もはや牧場には草がなく、ブドウ畑には紫のブドウの房もなく、畑には果実もなかった。怒った女神が草もブドウ畑も果実も世話しなかったからだ。
もはや彼らは食物を大きな車にのせて町へ運んでいなかった。
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by pypiko | 2017-09-21 11:48 | その他

大村雄治・古川晴風・有田潤共著 やさしいラテン語読本 4

ケレスとペルセポネ 1
 ケレスは穀物の女神であった。畑で穀物を、牧場で草を育てた。穀物は黄金色であった。
 穀物は黄金色で、女神の髪も黄金色だった。
 女神の服は青かった。
 ペルセポネは女神の娘であった。
 ケレスは可愛い娘をことのほか愛していた。
 ケレスはシシリー島で娘と一緒に暮らしていた。
 ある時ペルセポネは牧場を歩き回っていた。
 彼女と一緒に少女たちも歩き回っていた。というのは彼女らは草深いそのあたりが好きで、大喜びだったからだ。
 草深い牧場で彼女らは踊ったり歌ったりした。
 牧場にはバラやユリがたくさんあった。
 白いユリは彼女らを喜ばせた。
 ところが彼女の叔父プルトが女神の娘を遠くから見て、たちまち彼女に思いをはせた。
 プルトはだしぬけに青い馬を駆けって牧場に急いでやってきておののく少女を連れ去った。
 そこでケレスは「ケレス、あなたはどこにいるの」と叫んだ。
 それにこたえてペルセポネは「私の叔父があなたの娘を黄泉に連れ去ります」と叫んだ。
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by pypiko | 2017-09-11 10:17 | その他