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瑠璃のかなたに

救缶鳥

最近テレビで見た備蓄用「パンの缶詰」を開発したパン屋さんのお話です。
茨城県の人口10万ほどの小さなパン屋さん「パン・アキモト」の社長秋元善彦さんは1995年の阪神淡路大震災の時に、神戸に2000個のパンを送った際に半分以上が被害者の口に入ることなく捨てられてしまったことにショックを受けたそうです。
このことが非常用に保存ができてしかもおいしいパンを作ろうと考えたのがきっかけでした。
試行錯誤の結果、缶の内側を湿り気を保つための特別の和紙で覆いパン生地を入れ、缶ごと炉の中へ入れて焼くとパンが焼けると同時に殺菌もできるという方法にたどり着きました。
この時にもまた、備蓄用にかってくれていた人から賞味期限が来たから、処分をしてほしいとの依頼の電話があり、またしても捨てなければならないのかとの思いにショックを受けたそうです。世界には大勢の飢餓で苦しんでいる人がいるというのに食べ物を捨てることの罪悪感です。缶詰の賞味期限は3年です。本当は5年ぐらいは問題なく保存可能なのですが一応3年と表示してあります。
保存期間1年を残した2年目に回収し、入れ替えに100円引きの新しい缶詰と交換することにしました。賞味期限を1年残した分は無料で被災地に贈ることにしたのです。備蓄品は「救缶鳥」と名付けられ買い手側にも秋元さんの趣旨を理解してもらう努力もしています。
送料などにも運送業者やNGOなどと連携してシステムを作り上げました。
価格は400円前後、25種類もの味があっておいしく、食べた後の缶は切り口が手や口を切らないように工夫がされています。空き缶は食器として使ってもらうためです。
2004年のスマトラ沖地震、2007年のジンバブエ飢餓地域、2010年のハイチ大地震、2011年の東日本大震災、2013年のフィリピン台風など、今までに24万個以上のパンの缶詰めが無料で現地に届けられたそうです。
無料のパンを各所に届けながらそれでもパン・アキモトは「黒字」経営で、今や5億円以上の売り上げがあるそうです。長く続けるには会社の存続も大事です。ビジネスを成立させながら、人に喜んでもらう仕事ができたらと秋元さんは言います。
by pypiko | 2014-02-07 22:20 | その他