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瑠璃のかなたに

右脳と左脳

古事記入門の講師の大脇由紀子先生の授業はたくさんの余談が入ります。それがとても興味深く毎回楽しみです。

前回は古代日本人がどのように日本語を発音していたかについてのお話の中で、万葉集の中から先生の素敵なお声で高々と歌っていただきました。

また少し古いがとのことわりで1978年の角田忠信教授の実験結果についてのお話は興味深いものでした。 

以下は角田忠信教授の学説の概要です。

左脳と右脳

左脳 話す、書く、分析力、論理的・科学的思考、推論、言語認識、計算・数学理解力

右脳 ひらめき、直感、イメージ記憶、芸術性、創造性、空間的、全体を見る力、同時的情報処理、図形を読み取る、音楽を聴く

このように右脳は音楽脳とも呼ばれ、音楽や機械音を処理。左脳は言語脳と呼ばれ、人間の話す声の理解など、論理的知的な処理を受け持つ。

ここまでは日本人も西洋人もいっしょである。

ところが、虫の音をどちらの脳で聴くかという点で違いが見つかった。

西洋人は虫の音を機械音や雑音と同様に音楽脳で処理するのに対し、日本人は言語脳で受け止める。とすると、日本人は虫の音を「虫の声」として聴いていることになる。

このような特徴は、世界でも日本人とポリネシア人だけに見られ、中国人や韓国人も西洋型を示すという。

さらに興味深いことは、日本人でも外国語を母語として育てられると西洋型となり、外国人でも日本語を母語として育つと日本型になってしまう、というのである。

虫の声に聴き入る文化

松虫や鈴虫などさまざまな虫がさまざまな声で鳴いている。

虫の音だけでなく、そのほかの動物の鳴き声、波、風、雨の音、小川のせせらぎまで、日本人は言語脳で聴いているという。これは山や川や海まで、ありとあらゆる自然物に神が宿り、人間はその一員に過ぎないという日本古来からの自然観に合致している。日本の子供が「ワンワン」と答えるのは当然である。親が犬を指して「ワンワン」と教えるのであるから。同様に猫は「ニャーニャー」、牛は「モーモー」、豚は「ブウブウ」、小川は「サラサラ」、波は「ザブーン」、雨は「シトシト」、風は「ビュウビュウ」。まるで自然物はすべて「声」を持つかのようである。

 


by pypiko | 2014-12-22 09:12 | その他