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瑠璃のかなたに

異色のノーベル賞受賞者 山村智教授

今年の、医学・生理学ノーベル賞受賞者、大村智・北里大学特別栄誉教授は今までにないタイプのノーベル賞受賞者だそうです。

受賞理由は、アフリカで年間数千人が感染し、重症化すると失明に至る感染症・オンコセルカ症の特効薬「イベルメクチン」の発見と開発です。

教授は1935年生まれの80歳です。山梨の農家の長男として生まれて山梨大学を卒業し、卒業後、上京して夜間高校の教師として働いていたとき、思うところがあって学問の道へ進むことを決断したそうです。山梨大学から北里研究所へ移って米国留学するも学費はすべて自分で稼ぐという方針を貫いたといいます。

「文部科学省の科学研究費補助金の配分は、旧帝大をはじめ国立大学が約7割。ひどく偏っています。私学出身者で、当時としては珍しい産学提携から研究費を調達した大村先生がノーベル賞を受賞したというのは、まさに画期的なこと」だそうです。

痛快なのはイベルメクチン商品化をめぐる、大村教授とメルク社の交渉にあたってのエピソードです。

最初に交渉でメルク社の「オオムラが発見した放射菌を3億円で買いたい」との提案に大村教授は拒否。このくすりが生み出す利益はそんなていどで済むものではないと見込んでのことでした。その後メルク社が北里研究所に支払った金額は200億円をこえているそうです。

3億から4億円の赤字に苦しんでいた北里研究所を副所長である大村教授の努力で貧乏研究所から金融資産230億円の黒字施設に回復させることになりました。

大村教授はイベルメクチンだけでなく、これまでに26もの医薬品の商品化に成功していますので研究所に支払われる特許額は相当なものだそうです。その資金で人材育成のため研究施設の充実に、また個人の収入で趣味の美術品の収集などを行い美術館に展示しその美術館を丸ごと故郷の町に寄付するなどの活動も行っているそうです。

私生活は極めて質素だそうです。自宅を教え子たちの合宿に提供したり、好きな焼酎をぶら下げて行きつけの蕎麦屋に行ったり、とにかくオープン。あけっぴろげな性格で、故郷と本と教え子を愛している先生だそうです。

根底にあるのは負けず嫌いで、東京一極集中、とりわけ東大への対抗心だそうです。


by pypiko | 2015-10-25 21:36 | その他