田中秀央著 初等ラテン語読本より(22)
馬と驢馬
荷物をいっぱい積み込まれた驢馬は、もし自分が生きていることを望むならば荷物の一部を軽くしてくれるように馬に頼んだ。しかし馬は驢馬の願いを拒んだ。
それ故、少し後になって、驢馬は重荷に耐えかねて倒れた。そして死んだ。その際、御者は驢馬が積んでいたすべての荷物と、さらにその上驢馬から剥ぎ取られた獣皮も馬に載せた。
そこで、後になって先の傲慢を悲みながら、馬は“おお、哀れな私。私はすこぶる小さな荷物を受け入れることを拒んだばかりにかくも大きな袋と驢馬の獣皮を一緒に運ぶことを強いられた。彼の願いを傲慢に軽視したばかりに。