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瑠璃のかなたに

やさしいラテン語読本 39                         

39 キュロス クロエスス ソロン 3

朝になると奴隷たちは巨大な火刑台を作り、クロエススをそこへ乗せた。

その時クロエススは自分の災禍を考え悲しげな顔をして心の底から嘆きの声を上げソロンの言葉を思い出していた。

「わしは自分がいかなる人よりも幸せであると長年考えていた。

しかし今、これほど哀れなものはいない。

傲慢と愚かさの罰を受けねばならぬ。」

キュロスはクロエススの言葉を聞き、悲しげな顔を見た時、哀れに思って言った。

「わたしも人間である

今日は幸せであるがたぶんいつもうまくいくとは限らない。

たぶん私は不死の神々の恩恵を求めることとなるであろう。」

囚人を鎖と焔から解放しよう。」

しかしすでに奴隷たちは火のついた松明を梁木に差し伸べた。炎は火刑台をほとんど取り巻いていた。

最後の迫ったクロエススは天に向かって手を差し伸ばした。

突然アポロが澄み渡った空から雨を降らせ雨水を火刑台に降り注いだ。

こうしてキュロスは囚人を解放し長い年月クロエススを親友としたのであった。


by pypiko | 2018-05-21 19:39