瑠璃のかなたに

カテゴリ:その他( 294 )

やさしいラテン語読本 52

52 トロヤの木馬(2)

ところが夜が深いかげで大地を覆ったとき馬の中に隠れていた。ギリシャ人がうつろになっている馬のわき腹から躍り出て明るい松明を仲間に示した。

彼らは海のかなたから松明を見るや船を海岸に戻した。

都を守る見張りも城壁におらず、番兵も城門にいなかった。

全部の市民は疲れた心を深い眠りで休めていたのである。

ギリシャ人は押し寄せる大河のように勝利者となってあわれな都へ踏み込んだ。

いっさいが鉄と火によって荒らされた。

神殿と家々が倒され、青年は殺され、女たちは奴隷の身として異国へ連れ去られた。


[PR]
by pypiko | 2018-09-12 06:32 | その他

やさしいラテン語読本 51

51 トロヤの木馬(1)

結局、トロヤはこんな風に占領されたのである。

ギリシャ人はトロヤ人を偽りの言葉でだましたのだ。

彼らは言った。「トロヤ人よ。この地にあって我々は日ごとに弱っていく。

戦争と負傷のために弱りはてた我々は懐かしい祖国と可愛いい子供たちのところへ帰りたい。

こんな外地ではなく、郷里で友達に囲まれて余生を送ることにした。

もう十分長いこと我々は戦った。不死の神々の助けを借りてここから去るべき時だ。

しかし先ず第一にミネルバの神意を贈り物で宥めることにしよう。

そうすれば女神はわれわれを順風に乗せて返してくださるであろう。」

ギリシャ人は苦心して巨大な馬を作り上げその側面を太い梁で覆った。

夜の闇に紛れてギリシャ人は船に急ぎ白い帆に風をはらませた

朝方トロヤ人は騙された。

かれらは言った。「見ろ。あれがギリシャ人どもがミネルバの神意をやわらげようとした、その贈り物だ。

敵は帰ったぞ。

城壁の中へあの怪物を連れてこよう。女神は好意ある御心で我々のことも助けてくださるであろう。

そういうと市民たちは敵の怪物を城内に引き入れた。

青年の団がそれをひいてきた。少年も少女も大喜びで馬のまわりで踊ったり歌ったりそれを花で飾ったりした。

彼らは言った。「今こそ我々は自由の身になって、自由な街に住むのだ。敵はもう我々を夜も昼も悩ますことはないのだぞ。」


[PR]
by pypiko | 2018-09-09 06:45 | その他

やさしいラテン語読本 50

50  ブルタニア

ローマ人に知られているすべての島の中でブリテン島は最大であり、また更に地中海の島々より色々な点で優れている。

住民の数は限りなく、建物は立ち並び、家畜の数も多い。あらゆる種類の樹木が豊かである。

金銀その他の金属が見いだされる。

寒さはひどくないが空は雨や霧が多いので陰鬱である。

ブリテン島の一つの側はガリアに、他はヒスパニアにもう一つはゲルマニアに面している。

住民の中で一番文明が進んでいるのはカンチウムに住む人々でここへはガリアからいろいろな船と商人がやってくるからである。

話によるとこの海岸地帯にガリア人が住んでいた。その建物はガリアのものに似ており、風習も同じであり、言語も大して違わない。

ブリタニア人は耕作を知らず、乳と肉を常食とし、毛皮を着ている。

彼らは大青で身体を染めるがこれは肌の色を青くする。

彼らの髪は長く、また口ひげを剃らない。

戦争ではすこぶる勇敢に戦う。


[PR]
by pypiko | 2018-09-02 06:35 | その他

やさしいラテン語読本 49

49 ヘクトルとアンドロマケ(2)

しかしアンドロマケは夫をたしなめてこう言った。「ヘクトル、あなたは敵とに戦いに全生涯を過ごしておられます。あなたを憎み、怒る敵は多く、あなたのために友を黄泉に奪われた人はたくさんいます。トロヤ人の多くは傷つけられ殺されました。

あなたはとても負傷を免れるとは限りません。

ですから今日のところは城壁内に留まってあなたとあなたの都をお守りください。

あなたがいなくては、トロヤ人はギリシャ人から都を守りことが出来なくなりますから。」

ヘクトルはこれにこたえていった。「今、トロヤを守っている人々はすべて私を第一人者とあおいでいる。私の勇気によってこそ番兵は城壁に立ち、兵士は勇敢に立ち向かっていくのだ。もし私が戦闘を逃れ勇者であることを示さなければ、もう私は市民の愛顧にこたえなくなるであろう。トロヤ人はみな臆病になりやがて敵に征服されるであろう。トロヤは破壊され、そなたたちは見知らぬ国の奴隷とされるであろう。私のなすべきことは。戦闘から身を引くことではなく、むしろ祖国のために倒れることなのだ。」

そう言って、彼は息子と妻に口づけをした。

子供を奴隷に手渡すと武装を整えて去っていった。

アンドロマケは心の底から嘆き、不安に悩まされ、うなだれて王宮に入った。何よりも夫の死を恐れたからである。


[PR]
by pypiko | 2018-08-26 07:02 | その他

大村雄治・古川清風・有田潤共著 やさしいラテン語読本 48

48 ヘクトル と アンドロマケ(1)

長い年月の間。ギリシャ兵に対して都を防衛していたトロヤ人の中に、王のどの息子よりも勇敢で父王プリアモスのもっともお気に入りの王の息子ヘクトルがいた。

彼は市民にすこぶる好まれ最大の尊敬を受けていた。

彼が城門を出て先生へ戦闘に立ち向かうとき、あるいは火を振りかざして兵船を荒らすとき、ギリシャ人は彼をひどく恐れたのだった。

トロヤ人は毎日のようにヘクトルによって士気を鼓舞された。

彼らはしばしば戦闘からヘクトルとともに勝利者として戻った。

ヘクトルの妻アンドロマケは夫と小さな息子とともに王宮に住んでいた。

トロヤのどんな女も彼女ほど夫を愛したものはなく。夫の愛にこたえられるものもなかった。

ある時ヘクトルは武具に身を固めて王宮にやって来た。

アンドロマケはうれしそうな顔で夫を迎え胸に息子を抱いていた。女奴隷を呼び寄せた。

ヘクトルは腕を子供の方へ差し出した。けれども息子は父の兜に立っている赤い羽根飾りを見てびっくりして、父のところへ行こうとせず女奴隷の胸にしがみついた。

するとヘクトルは息子に笑いかけ、恐ろしい兜を地面に置いてふたたび息子の方へ腕を差し出した。

息子はもう怖がらずにわらって父の首に小さな腕を巻き付けた。


[PR]
by pypiko | 2018-08-21 10:29 | その他

やさしいラテン語読本 47

47 戦闘

カエサルは真夜中に全軍を引き連れて、陣を出て川の方へ向かった。

けれども敵は状況を知っていて、夜が明けるやわが軍は敵の歩兵の諸部隊を丘の上に認めた。

カエサルは右翼と左翼に騎兵を配置し、わずかな言葉で兵士の士気を鼓舞した。

「兵士諸君、ローマ国家のすべての希望はわれらの勇気にかかっている。勝利は勇者のものである。」

まず敵はわが軍の左翼をついで右翼を攻め立てた。最後に彼らは中央の戦列に攻撃をかけてきた。

戦闘は長く激しく、多数の負傷者が出た。

わが軍は巨大な敵軍の歓声を恐れなかった。

白兵軍となり、まもなくわが軍は全域で敵を圧倒した。

敵の指揮官はわが手に落ちた。

カエサルは兵士の素晴らしい勇気をほめ、全員に褒賞を与えた。

そして大急ぎで故国に戻り、市民から歓呼のうちに迎えられた。


[PR]
by pypiko | 2018-08-04 07:26 | その他

伊作文 やさしいラテン語読本 45

45 レグルス 1

第一次ポエニ戦争の時、ローマ軍は兵船が少なく、また兵船を活用することもできなかったのでカルタゴ軍に圧倒された。

けれどもローマ軍はついに兵船を建造し、幾たびも、戦いでカルタゴ軍を打ち負かした。

かくてローマ人はコンスルのレグルスを軍隊とともにアフリカに派遣した。

レグルスは軍隊をアフリカに軍を上陸させた。

はじめのうちは、彼は戦果を治めた。各地を戦火であらし、希望に燃えてカルタゴに進撃した。

カルタゴ軍は非常な努力を払って軍団を結集し、数千万の歩兵と騎兵をローマ軍に向けてきた。

ローマ軍は激しく戦ったが敵の攻撃に長くは耐えられなかった。

彼らは混乱し敗走した。

わずかな兵が命からがら逃げのびて友軍の城砦へいそいだ。

軍の大部分は殺されたか捕らえられてしまった。


[PR]
by pypiko | 2018-07-10 11:12 | その他

優しいラテン語読本 43

43 ミューズとセミ3

住民たちはこのすばらしい響きを喜んだ。

ミューズたちは長い間歌を歌い、住民たちはほかのことを忘れて聞きほれ、そして食べる時間も寝る時間も持たなかった。

幾日も幾時間もアウロラがチトヌスのサフラン色の寝床を離れる朝も夕暮れが星を天に戻す晩も歌っていた。

こうして住民たちは夕食も昼食もわすれてすばらしい響きに聞き入り神々しい歌を好むあまり一日一日と弱っていった。

ついにミューズたちは住民たちが弱りはてたのを知って哀れに思って彼らをセミに変えた。

だからセミたちはいつまでも神々しい歌を覚えていて一日中ないているのである。


[PR]
by pypiko | 2018-06-22 12:41 | その他

やさしいラテン語読本 42

42ミューズとセミ 2

ある時、谷の住民のところへ天からミューズが下りてきた。

ミューズは九人で、詩人と歌の女神である。

あらゆる人間の種類、とりわけ詩人たちが、ミューズたちに保護され教えられた。

ミューズたちは谷へ下りて来るや、すばらしい神々しい歌を歌った。

ミューズたちの声は澄みわたっていて、全世界で女神たちの歌ほど香しい響きはなかった。

春に、彼女たちが歌で大気をやわらげるときには、梢の鳥たちはこれほど上手に歌うことはできなかった。


[PR]
by pypiko | 2018-06-07 19:26 | その他

やさしいラテン語読本 41

41 ミューズとセミ

ギリシャの山々の間に。いろいろな花のいっぱいある、あらゆるものがよく実る一つの谷があった。

山々からの冷たい水が流れ下り、緑の野を通っていた。

たくさんの羊たち、馬と牛の群れがの山に遊んでいた。

谷は緑の山々でまわりを取り囲まれていて、山々が白い雪で覆われる冬にも、生き生きとした燕が軒端に巣を作る春にも、旅人は誰一人そこに入ってこなかった。

こうして住民は外界のことを知らず、安楽幸福に暮らしていて、何の心配もなかった。


[PR]
by pypiko | 2018-06-07 19:26 | その他